
三省堂書店の携帯電話向け書籍検索サービスにx-Servletが使われています
店舗内での書籍検索サービス
大型書店では、欲しい本がどこにあるのかわかりにくい。
三省堂書店では、自分の携帯電話から欲しい本を検索して「1階のビジネス新刊コーナー、1列Aの棚、在庫あり」と、売り場や在庫の確認ができるようになる。
この書籍検索サービス『本DAS-K』は、マルチキャリアの携帯電話に対応し、最新機種からのアクセスがあっても最適に表示されるよう、x-Servletがアウトプットを担っている。
「本DAS」…本のData Acquisition System、つまり「書籍の在庫データを扱うシステム」。
B2Bのサービスも展開
同社は出版社や書店向けに、書籍の売上実績を携帯電話で閲覧できる有償サービスも展開する。ここでもx-Servletが利用される。

株式会社三省堂書店 企画事業部 部長 児玉好史様、同ASP事業担当リーダー信原一男様、株式会社セイノー情報サービス 東京支店 係長 水谷善行様から、x-Servletを導入した三省堂書店様のシステムについて、サービス背景からお聞きしました。
「本DAS-K」リリースの背景
売場面積の拡張が続く三省堂書店では書籍の在庫が膨大になり、お客様サービスの向上を目的にタッチパネル式の書籍検索機器を店頭に設置し、在庫の有無から収納されている棚の位置情報まで提供するサービスが導入されてきた。
帰宅時に立ち寄るビジネスパーソンを中心に、多い時には10人も並ぶほど検索タッチパネルが活用されている。しかし、検索タッチパネルは導入コストもかかる上に、設置スペースの確保が難しい。店頭では場所さえあればより多くの書籍を並べたいのが本音だ。
無線LAN接続可能なPDAを導入したこともある。店舗スタッフがPDAを操作して検索するシステムを導入したが、PDA特有の表示の不具合が発生しただけでなく、端末価格の高いPDAでは導入コストがかかり過ぎた。
モバイルWebアクセスにx-Servletの提案
そんなとき、セイノー情報サービスから提案があった。
「x-Servletという便利なソフトウェアがある。これを使えば一般的な携帯電話から検索システムが使える」そんなとき、セイノー情報サービスから提案があった。
携帯電話向けWebアプリケーションは機種対応が難しい。どの端末からアクセスがあっても適切に使えなければならない。特に一般のお客様向けに利用していただくシステムでは、ささいなトラブルでもクレームになりやすい。
三省堂書店の神保町本店では、日に3万人ほどの来店客がある。クレームを訴えるお客様はほんの1%以下と想定されるが、実数からすれば300人。その人数がレジカウンターを占領すれば店舗業務は簡単にパンクしてしまう。
そこで、あらゆる携帯電話からのWebアクセスを最適化するx-Servletが導入された。
携帯電話は誰もが持っているメディア。誰もが持っているだけに数多くの種類の端末からアクセスがある。小売業のサービスはすべてのお客様が利用できなければならない。不具合があれば、すぐにクレームや問い合わせにつながる。
もっと面倒なのは頻繁に発売される新機種への対応だ。1台ごとに画面サイズやキャッシュメモリサイズなどを調べてプロファイルを追加し、表示の検証を行う必要がある。だが、x-Servletを導入すれば、新機種への最適化を自動的に行うので手間がかからない。
そんな書籍在庫検索システムのアウトプットをx-Servletがサポートする。
1千万レコードをストレスなくアウトプット
書籍在庫検索システムは数年前から、「本DAS-P」の名称でPC向けのサービスとしてインターネット経由で利用されている。ほんの5分前のPOSデータを販売実数として格納し、検索システムからアウトプットしているため、リアルタイム性が重要視されてきた。
セイノー情報サービスによるデータベース・チューニングが功を奏し、検索システムのパフォーマンスが非常に高まり、瞬時に結果が表示されるまでになった。そこで、携帯電話でのアウトプットにおける負荷にならないx-Servletの変換効率の高さが貢献した。
書籍はざっと25万点以上、三省堂書店の店舗数が国内36店舗、すると各店舗の書籍在庫のデータベースは単純に1千万レコード。その数は減ることなく常に増加しつづける。その膨大なデータを検索してもなお、携帯電話には瞬時に表示された。この検索スピードならストレスなく利用できる。
社内向けの検索システム自体は10数年前から存在するが、徐々にパフォーマンスが上がり、インターフェイスも向上したことで、一昨年前から携帯電話を活用するプロジェクトが始動した。x-Servlet検討を含めた紆余曲折を経て、2008年1月より実用化される。
(店舗への導入は試験しつつ徐々に拡大する予定)
IT導入が進む三省堂書店
セイノー情報サービスは三省堂書店とは20年来の付き合いがある。西濃運輸グループの強みを生かして、書籍の物流から社内システムまでをトータルでサポートしている。書籍の発注から宅配便の発送までをワンストップで行うシステムを初めて実用化した書店が三省堂書店であり、そのシステム構築を担当したのがセイノー情報サービスである。
書籍在庫検索システムは8年前から「お取り置きサービス」として活用されている。三省堂書店の店頭在庫をインターネットで確認し、あった場合に取り置きを依頼できるサービス。
先に商品があることがわかれば店舗で受け取りたいとの要望が多い。その背景には、一般的な通信販売とは違って、書籍の場合は店頭で手に取って確認してから購入したいというニーズがある。
ゆくゆくは、携帯電話からも「お取り置きサービス」を利用できるようにしたいとの構想もある。
出版社向けの販売データWeb配信サービス
一方、書籍在庫検索システムのデータは、PC向けに外販されている。ほぼリアルタイムの販売実績数であるため、業界関係者には重宝されているのだ。
出版業界では委託販売制度がとられており、返本の割合が60%になるケースもあるという。そのため、出荷数と販売数に大きな差異が生じているのだが、出版側は出荷数でしか把握することできない。出版業界における長年のジレンマだ。
通常は、販売の実数が把握できないため、予測や分析はベテラン書店員や出版社営業マンによる経験とカンに頼っている。
そこで、リアルタイムの販売数をインターネットで提供できれば、書店の書籍売り上げや出版界全体の動向をいつでも簡単に把握でき、正確なデータに基づいた適正な増刷や販売活動を行っていくことが可能になる。ほかにも書籍・雑誌の企画、販売の効率アップ、返品率の減少に役立てることも可能だ。
書店では仕入れデータとして、出版社では営業データとして活用できる貴重なデータベース。
このデータをPC向けに有償で提供するのが、販売データWeb配信サービス「有償ユーザー向け 本DAS-P」。
2年前にスタートした「有償ユーザー向け本DAS-P」だが、小規模な書店や出版社では有償サービスとして契約するにはコストがかかり過ぎる。検索内容を簡易化して、比較的安価で手軽に提供できるのが携帯電話向けサービス「有償会員版 本DAS-K」となる。
2008年1月から三省堂書店の各店舗では、在庫検索サービスのポスターが貼り出されることになる。そのQRコードから携帯電話でアクセスすれば店頭にいながらリアルタイムに利用できる。
・・・ここでもx-Servletの技術が使われています。

株式会社三省堂書店
社名 :株式会社三省堂書店
本社 : 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-1
TEL : 03-3295-1881
創業 : 1881(明治14)年4月8日
事業所 : 36店舗 11営業所 4海外拠点
URL : http://www.books-sanseido.co.jp/1881(明治14)年、古書店として東京・神田神保町で創業。現在では、関東を中心に全国36店舗11営業所を構えるほか、インターネットショッピングサイトも運営している大手書店チェーン。また、先進のシステムをいち早く取り入れることでも知られており、全国をネットワークで結び各店の販売情報を最大限に活用したサービスを提供するなど、同業他社の中でも抜きん出てITを導入している企業。
お問い合わせ先 :株式会社三省堂書店 ASP事業担当 信原一男
E-mail : nobuhara(@)mail.books-sanseido.co.jp ※()を外して送信してください。
TEL : 03-3295-6956