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モバイルファースト時代のマルチデバイス対応を確実・簡単に

リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社

「スマートフォン向けポータルサイトを、『x-fit』を活用して3週間で構築しました」
リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ

モバイルシステム開発会社、リアライズ・モバイル・コミュニケーションズの執行役員 ソリューション事業部 事業部長 勝本淳之氏、渡邊修氏、システムデザイン事業部 シニアマネージャー 斎藤普樹氏、クリエイティブディレクター 菅沼美和氏に『x-fit』を採用した経緯と評価について詳しく聞きました。

リアライズ・モバイル・コミュニケーションズについて

リアライズ・モバイル・コミュニケーションズについて

リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ(以下 リアライズ・モバイル)は、ソフトバンクグループのモバイル向けシステム開発とマーケティング企画・制作の会社です。2000年の設立から今年で12年目を迎える日本のモバイルシステム開発の草分け企業です。ソフトバンクグループのモバイル向けポータルサイトの開発・運用を多数手がけているほか、京都のコミュニティサイクルの管理システムや、ソフトバンクホークスの観戦チケットを携帯電話から予約・発券できる「チケットレスサービス」、スマートフォンとGPSを使った「タクシー配車システム」など多くのシステム構築実績があります。

「ソフトバンクグループの100%子会社ですが、広くユーザーにサービスを提供する意味では当然他キャリアを含むシステム開発を行う場合も多数あります。資本金は3億円、従業員数は30名弱です。

スマートフォン向けサイトの開発ツールおよびプロキシサーバとしてx-fitを活用

── リアライズ・モバイルではx-fitをどう活用していますか?

リアライズ・モバイルでは、スマートフォン向けポータルサイトを開発する際に、x-fitを開発ツールとして活用しました。またサイトのオープン後は、x-fitをプロキシサーバとして活用し、スマートフォンごとの表示の機種依存の吸収・解消を実現しています。

今回のプロジェクトの概要は次のとおりです。

項目 内容 備考
サイト概要 ユーザー向けポータルサイト ポータルサイトに訪問したユーザーを、キャリア課金システムを導入している各CPのサービスサイトへと送客するためのサイト。
開発期間 3週間
  • 2012年1月半ば クライアントから企画が内示される
  • 1月後半 クライアントから開発依頼される
  • 2月14日 サイトのサービスイン
開発内容の動的部分(プログラム)と静的部分(HTML)の割合 現在(2012年3月)は静的部分が6割、動的部分が4割 将来的には、静的部分2割、動的部分8割になる見込み
開発メンバー 5名 勝本氏、斎藤氏、渡邊氏、菅沼氏のほか、もう1名
x-fit使用者 主に菅沼氏 サービスイン後は運用スタッフ
プロジェクトのシステム概念図

「スマートフォンサイト開発の『地雷』には要注意だと思いました」

ソリューション事業部 事業部長 勝本淳之氏
ソリューション事業部
事業部長 勝本淳之氏

── 今回の開発プロジェクトで、「どんなスマートフォン端末でもサイトが正常表示されること」はクライアントから明示的に要望されましたか?

明示的には要望されませんでしたが、ポータルサイトを構築する上では当然で「暗黙の要件」となっていました。

この暗黙の要件は、われわれを悩ませました。スマートフォン向けサイトの開発は「PCサイトの延長線上。簡単でしょ」と気軽に見なされがちなのですが、実際は表示の機種依存がけっこう多くあり、ナメてかかると痛い目に遭います。最近ではクライアントからのスマートフォン向けサイト構築依頼を軽い気持で引き受けたところ、機種依存でハマってしまうということはよく聞かれます。

今回のポータルサイトのプロジェクトは正式依頼が1月後半、サイトオープン(納期)が2月14日であり、開発期間はわずか3週間しかありませんでした。この短納期で、機種依存の「地雷」でも踏もうものなら納期に間に合わなくなります。

今回x-fitを導入したのは、その「地雷」を避けるためです。結果として予定納期の3週間で開発を終えられました。サイトオープン後の運用もスムーズです。クライアントからの暗黙の要件に無事に応えることができました。

「ガラケーの時代は、手組で対応できていたのですが…」

── リアライズ・モバイルでは、スマートフォン以前の、通常の携帯電話(いわゆる『ガラケー』)でのサイト開発の時には、表示の機種依存の吸収・解消はどうやって実現していたのですか。今回のようにツールを使っていたのですか?

通常の携帯電話向けサイトのコーディングの時には、ツールは使いませんでした。ツールに頼らなくても長年の知識や経験を基にして、各エンジニアが機種依存しないコードを自分で書くことができたからです。

── 開発は手組みで可能だったとしても、「検証」はどう行っていたのでしょうか?

検証も自分たちで「手作業」で行いました。携帯電話の主要100機種を用意して、自分たちで一つ一つサイトを表示して目視確認していました。

しかし、最初から機種依存しないようにコードを書いているのだから、よほどの凡ミスでもしていないかぎり、どんな機種でも正しく表示されるわけです。実際、検証結果はいつも予想通りでした。

ツールを採用した7つの理由 ~ リスク回避

── 携帯電話向けサイト開発ではツールを使わなかったのに、今回のスマートフォン向けサイトの開発でツール(x-fit)を使ったのはなぜですか?

今回のポータルサイト開発でツールを使った理由は、ひとことで言えば「リスク回避」です。詳しく述べると次のようになります。

  1. 短納期だった。
  2. スマートフォンサイトで生じる機種依存エラーは、携帯電話向けサイトでのエラーに比べ 「深刻度」が大きいと予測された。
  3. スマートフォンの仕様情報は、携帯電話の情報に比べて入手が難しく、その分 エラーの原因究明に「時間がかかる」と予測された。
  4. スマートフォンの新機種との 「いたちごっこ」を避けたかった。
  5. 機種依存解消は、リアライズ・モバイルの コア業務ではない。
  6. 保証が必要だった。
  7. 運用・更新サイドの負担軽減。

理由1 ~ 短納期

── 順々にお聞きします。ツールを使った【理由1. 短納期だった】とは具体的には?

先にも述べたとおり、今回のプロジェクトの納期はわずか3週間でした。その3週間も大半の期間はサイト作り(HTML)ではなく、システム構築(プログラミング)に費やされます。この状況でもし機種依存エラーで泥沼にはまると納期に間に合わなくなります。費用をかけてでもツールを購入・活用した方が安全だと考えました。

理由2 ~ エラーの深刻度

── ツールを使った【理由2. スマートフォンサイトで生じる機種依存エラーは、携帯電話向けサイトでのエラーに比べて「深刻度」が大きいと予測された】とは具体的には?

システムデザイン事業部 シニアマネージャー 斎藤普樹氏
システムデザイン事業部
シニアマネージャー 斎藤普樹氏

大きくは、「携帯電話向けサイトでのエラーは『表示が乱れる(読みにくくなる)』だけの話だが、スマートフォンサイトでのエラーは『動作不良(動かない、遷移しない)』ことになり、深刻度が大きい」ということです。

携帯電話サイトは基本的に「文字とリンク」で構成されるシンプルなものですが、スマートフォンサイトの場合、「カルーセル」や「アコーディオン」など、リッチなインターフェースが使われます。これらタッチUIは通常、JavaScriptで実装されています。PCサイトのコーディング経験がある方には周知のことと思いますが、JavaScriptはブラウザ依存が激しく、特定ブラウザ(OS・機種)で正常動作しているスクリプトが、別のブラウザではエラーになることは珍しくありません。

そうしたエラーがスマートフォンのタッチUIで生じたらどうなるか。「カルーセルが回らない」、「アコーディオンが開かない」などの、「みっともない事態」が生じます。これらは、「表示が乱れる」を超えた、「表示できない(使えない)」というトラブルですから、利用者には大きな不満を与えます。その不満は、時にはサイト運営者へのクレームにもつながることがあるでしょう。

今回のポータルサイト開発でそうした事態が生じた場合、利用者からクライアントに入ったクレームはそのまま弊社に届きます。単純化して言えば、「表示できないというクレームが来ました。何やってるんですか!」と怒られるということです。クライアントの弊社への信用も低下するでしょう。

そうした事態を未然に防ぎ「無事これ名馬」となるためにも、またクライアントに対しリアライズ・モバイルが機種依存エラー防止のための十分な対策を講じていることを説明するためにも、やはり外部ベンダーの信頼のおけるツールを導入するのが得策だという結論に到りました。

理由3 ~ 情報入手が困難

── ツールを使った【理由3. スマートフォンの仕様情報は、携帯電話の情報に比べて入手が難しく、その分エラーの原因究明に「時間がかかる」と予測された】とは?

携帯電話の場合、主要キャリア3社が仕様を制御しています。仕様書の入手も容易なので、それを照会すればエラーの原因は短時間で分かります。

一方、スマートフォンの場合、AppleやGoogle(Android)が仕様を決めており、携帯電話に比べて仕様書の入手が難しくなりました。またAppleやGoogleの企業文化から考えても、仕様それ自体が頻繁に(かつ予告無く)変更される可能性があります。

これは、エラーが生じたときに「原因究明に時間がかかる」ことを意味しています。iPhoneやAndroidへのリアルタイム対応のような困難な作業は、やはり「餅は餅屋」で外部の専業ベンダーに任せる方が良いと考えました。

理由4 ~ 新機種への継続対応

── ツールを使った【理由4. スマートフォンの新機種との「いたちごっこ」を避けたかった】とは?

ソリューション事業部 渡邊修氏
ソリューション事業部
渡邊修氏

スマートフォンは現在、急激なスピードで普及しており、新機種も次々発売されています。機種が増えれば差別化が必要になるので、かつての携帯電話のように大きな機種依存が再び発生するかもしれません。

今後、何百機種に及ぶスマートフォンの機種依存に、手作業で対応していくのでは「いたちごっこ」になります。非現実的です。

また「エラーを後追いで潰すのではクレームを防ぎきれない」という考え方もあります。最悪の事態は、「新機種が発売される」→「その機種を発売当日に購入したユーザーが、(ワクワクしながら)スマートフォン向けサイトに来訪する」→「ところが表示エラーに出くわす」→「(ワクワクの裏返しで)不満が高まる」→「サイト運営者にクレームが入る」→「そのクレームがリアライズ・モバイルに来る」という事態です。

それまでの100機種で正常表示できていたとしても、今日発売される101機種目でエラーが出るかもしれません。そんなエラーを防ぐには、やはりツールを使うのが得策です。

理由5 ~ 本業への注力

── ツールを使った【理由5. 機種依存解消は、リアライズ・モバイルのコア業務ではない】とは?

そもそも、「機種依存エラーの解消・吸収」は、システム開発会社であるリアライズ・モバイルの中核価値ではありません。私たちが注力するべきことは、「美しく、分かりやすく、使いやすいWebサイト作り」、「正確かつ安定して動作するシステム作り」の方です。サブ業務である機種依存解消はツールに任せて、私たちは本業の方に集中したいと考えました。

理由6 ~ 保証

── ツールを使った【理由6. 保証が必要だった】とは?

実は、社内にはツールの使用への反対論がありました。「ツールに頼ったのでは知識やノウハウが蓄積されない。開発会社としてそれで良いのか」という考え方です。この反対論は、前述の「機種依存解消はわれわれの中核価値ではない。注力する必要はない」という考え方で、却けました。

「オープンソースを使おう」という意見もありました。しかしオープンソースは、本来的に「最終責任」を取ってくれません。

今は市販の全機種に対応しているかもしれませんが、1年後、2年後の全機種に対応する保証はありません。そもそもオープンソースに「保証」を求めるのはお門違いです。保証を求めるのなら専業ベンダーのツールを使うべきです。

理由7 ~ 更新の負担軽減

──ツールを使った【理由7. 運用・更新サイドの負担軽減】とは?

システムデザイン事業部 クリエイティブディレクター 菅沼美和氏
システムデザイン事業部
クリエイティブディレクター
菅沼美和氏

ツール反対論の根底には「そもそもエンジニアはツールが嫌い」という感情もあります。エンジニアは隅々まで自分でコントロールしたいと考える性向があるので、ツールの使用でブラックボックスが生じることを嫌うのです。

しかし、Webサイトが完成した後、それを運用・更新していくスタッフにはそうした性向はありません。ツールを使う方が作業工数もミスも減るので、むしろツールを歓迎します。

エンジニアがツールを嫌うのは「感情」ですが、運用スタッフでツールが役立つことは「ミス減少」「工数減少」という実メリットです。

以上の理由に基づき、「ポータルサイト開発での機種依存解消は、ツールを使って実現すること」が決定しました。続いて、ネット検索などで具体的なツールの候補製品を探し、それらを比較検討しました。

候補製品を比較した条件

── 候補製品となったツールはどんな要件で比較したのでしょうか。

機種依存解消・吸収ツールの選定に際し、次の要件を求めました。

要件1: 機種依存解消・吸収という基礎機能が十全であること
発売されているスマートフォン全ての機種で、アコーディオン、カルーセル、ジャスティファイ(※)など各種タッチUIを正確・確実に動作させられる製品を求めました。

※ 画面幅に合わせてレイアウトを崩さず画像やメニューを均等に並べる機能のこと

要件2: 操作が直感的(学習不要)であること
3週間の短納期の中で「すぐ使うツール」なので、特別な勉強や教育が不要であることが重要でした。エンジニアが「たぶんこうでしょ」と思って操作すれば望みの結果が得られる、そんな直感的なツールを求めました。

要件3: こちらの運用・保守負担がないこと
新機種が発売された時は、ツールが自動的に対応してくれる。こちら側は何もしなくても、何も考えなくてよい。そんな「手離れの良い」ツールを求めました。

要件4: 継続的な更新が担保されていること
企業として、今後、新発売されるスマートフォンへの対応を継続的に行う姿勢があることを求めました。(オープンソースや無料ツールではこの継続性があてになりません)

要件5: 十分な実績があること
モバイル機器での機種依存の解消に、従来の携帯電話(ガラケー)の時代から継続的に取り組んでいる企業の製品が望ましいと考えました。

要件6: 費用対効果が高いこと
もたらす効果が大きく、それが適正(望むらくは割安)な価格で提供されている、いわゆる「費用対効果が高い」製品を求めました。

上記の基準で各製品を比較検討した結果、x-fitが求める要件を最も良く満たしていたため、これを採用することを決めました。

x-fitを使ってみての評価

── 実際にx-fitを使ってみての感想、評価をお聞かせ下さい。

まず、動作が安定しています。ポータルサイトの公開後に宣伝告知をして、大量のアクセスが一度に発生したときでも、x-fitはビクともしませんでした。ほったらかしでも頑張ってくれる、縁の下の力持ちに感謝しています。

また、開発期間中は「JavaScriptの組み込みの簡単さ」を改めて実感しました。スマートフォンのタッチUIを司るのはJavaScriptなので、その扱いがラクであれば開発全体がラクになります。

テクニカルサポートも充実していました。ポータルサイト開発中に何度かサポートを求め連絡しましたが、互いにソースを見ながらのコミュニケーションも取れるなど、常に「実際の問題解決につながる対応・回答」が得られました。

今後の期待

── KSKへの今後の期待をお聞かせください。

今回x-fitにより、良質のスマートフォン向けサイトを短納期で開発できました。KSKには、今後も優れた技術、製品、サポートを継続提供していただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

リアライズ・モバイル様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

[事例会社]

リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ

リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ株式会社
〒106-0032 東京都港区六本木2-4-5 6F
WEBサイト: http://www.realize-mobile.co.jp/

[取材協力]

SCSK株式会社

[x-fit販売代理店]
SCSK株式会社
〒135-8110 東京都江東区豊洲3-2-20(豊洲フロント)
WEBサイト:http://www.scsk.jp/

  • 取材日時:2012年 3月
  • 取材制作:カスタマワイズ
  • 記載内容、数字はすべて取材日時点のものです。
  • 掲載されている会社名・製品名・ロゴ等につきましては、各社または各団体の商標または登録商標です。
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x-fit