「x-Servlet」の導入は必然だった


飲食店舗や小売業者などコンシューマ向けビジネスを行う企業に向けて携帯電話を活用したマーケティングツール「モバイルマーケティングASPサービス」を提供するNTTドコモ。企画から立ち上げまでが半年という短期間の開発を支えたのがKSKの提供するコンテンツ変換ソフト「x-Servlet」の導入であった。
今回のインタビューはNTTドコモ(以下ドコモ)の小林氏と杉山氏、開発パートナーであるNECの大島氏に話を伺いました。
モバイルWebサイトをマルチキャリア・マルチデバイスに対応させるProxy型ソフトウェア。
アクセスしてきたモバイルデバイスを自動識別し、各機種に最適なWebページに動的に変換し、出力が可能。また、開発するWebサイトはひとつで済むため、スマートフォンから既存の携帯電話(フィーチャーフォン)まで幅広く対応したモバイルサイト構築における工期短縮、開発コスト・運用コストの削減を実現している。
「モバイルマーケティングASPサービス」について
── まず、「モバイルマーケティングASPサービス」について教えてください。
(ドコモ) 現在、携帯電話は生活者にとって、肌身離さず使われるものとなりました。24時間30センチメディアとよばれ、生活インフラとなった携帯電話を活用して販促ツールにできないかという背景から2010年12月よりサービスを開始しました。
携帯電話は”個”のデバイスですのでコンシューマ向けにビジネスをする全ての企業にOne to Oneマーケティングのツールとして提供したいと考えています。当然、ドコモユーザー限定ではなく、マルチキャリア対応で全てのユーザーを対象にしています。
── なるほど、ほぼ全ての国民が所有する携帯電話は顧客管理や販促ツールとして利用しない手はないですね。

(ドコモ) これまで販促ツールとして、モバイル専用のサイト構築を行い、サイト上でクーポンを発行するなどで、お客様の呼び込みを行う企業が多くいらっしゃいましたが、それだけではお客様を実店舗へ導く為には足りないと考えています。
単にモバイルサイトを構築するだけでなく、いかにお客様を実店舗(リアル)へ導けるかという点が肝であると考えています。
── 近年話題となっているO2Oマーケティングですね。
(ドコモ) そうです。その中で重要な機能となるのが、おサイフケータイです。SNSやソーシャルメディアなどバーチャル上にあるクーポン情報や会員情報をおサイフケータイに取り込み、実店舗でかざすことによってバーチャルからリアルへ結び付けるという事を目的としています。
いかに携帯電話に情報を入れるか、またはどのお客様へ発行するかなど、お客様ひとりひとりに合わせたプロモーションを行うという点が大きなポイントです。
サービスを提供する上での課題
── サービスを企画する上で何を重視しましたか?
(ドコモ) 「モバイルマーケティングASPサービス」の提供以前から、携帯電話の『かざす機能』は飲食チェーン店を中心に導入されており、様々な分野の企業様からもこの機能に対する関心は高いものでした。問題はこの機能を導入する上での高い費用であり、同様のサービスを実施したいと思っている企業様が導入を考えた場合、費用面が参入障壁となっていました。
そこでドコモのインフラを使ってクラウド化しASPとして提供することによって、低価格で安心なサービスを提供することができました。

「モバイルマーケティングASPサービス」概要
「x-Servlet」でマルチデバイス対応を
── サービス開発についてお聞かせください。

(ドコモ) 今回のサービス開発で特に重視した点は「マルチキャリア対応」と「開発期間のスピード」です。特に全てのユーザーが利用できる環境にする必要があり、開発期間が余りなかった為、開発パートナーのNECさんから「x-Servlet」の導入を初期段階で聞き、納得しました。
過去に別の開発で「x-Servlet」の導入経験もあった為、必然だと認識していました。
(NEC) 今回のようなモバイルサービスは企業向けに専門システムを構築する場合が多いのですが、ドコモさんからASPで提供すると聞き、お客様への共通項目とニーズに合わせた拡張性を可能にする為、「完全に汎用的でかつ多種対応のシステム」の開発が必要でした。
その中でマルチキャリア対応となるので、今まで発売された全ての携帯電話で問題なく動作するシステムにする必要があり、開発期間が半年というスケジュールの為、「x-Servlet」を導入することを、システム開発をする上で提案させてもらいました。

「x-Servlet」対応イメージ
── サービス条件からみて「x-Servlet」導入がマストだったのですね。

(NEC) 今回の規模を半年でゼロから開発するのはおそらく不可能ですね。当時はフィーチャーフォンのみの対応だったのですが、それでもシステム初期導入時は3キャリアで約500~600台の端末で安定した利用を保証しなければなりません。「x-Servlet」は過去に導入実績があり、稼働面での安定性で信頼を寄せていたという点と、KSKさんが端末台数を多く扱っており、「実機検証サービス」を手掛けられていることが導入理由になります。
ドコモ以外のキャリアの端末をチェックするのは、専門で実機検証を手掛けているKSKさんでなければ不可能に近いですから。
スマートフォンへの対応
── 現在はスマートフォンにも対応されていますが、スマートフォン時代に気を付けられている点があれば教えてください。
(ドコモ) フィーチャーフォンの場合は、OSや仕様は自社で決定し提供していましたが、スマートフォンの場合は真逆になります。自社以外の企業、例えばGoogleといった海外のOS提供企業の仕様に合わせなければいけません。今後スマートフォンの普及により、対応スピードは後から追いかけると言っても過言でなく、先回りして対応するということが難しくなっています。対応できていないと、お客様からのクレームは導入企業様に向けられてしまうので、そうならない為にも、細かい仕様まで先回りして対応することが大切になります。
ただ、ドコモユーザーもそうですが、まだまだ従来のフィーチャーフォンが好きというユーザー様も多くいらっしゃいます。新しい端末に対応しつつ、フィーチャーフォンユーザーにも責任を持ってサービスが利用できるようにしなければなりせん。

KSKに対する今後への期待
── 正にキャリアであるドコモさんのユーザーに向けたサービスの強い意志を感じました。
では最後に「x-Servlet」を提供するKSKに期待することをお聞かせください。
(NEC) 開発ベンダー側としては、スマートフォンが普及している中、あらゆるスマートフォンのインターフェースへの対応、これから出現する新しいOSへの対応、端末別に採用される標準ブラウザへの対応などスマートフォンの多様化にしっかりと全て対応していってもらいたいです。
システムの対応も当然ですが、最新端末から過去の端末を全て揃えて検証するのは難しい為、実機検証サービスも引き続き期待しています。
もう2点あります。これからの開発と運用についてです。スマートフォンが益々普及していくことから、スマートフォンならではという機能の実装に魅力を感じています。「モバイルマーケティングASPサービス」はユーザーにとって利便性が高く、利用されるサービスでなければなりません。スマートフォンによる端末性能の高度化に合わせて、インターフェースやデザイン、機能面はユーザーの興味を惹くサービスに進化させていかなければならないと感じています。その点では「x-fit」の説明を是非、聞きたいですね。
(ドコモ) 運用面では、運用フェーズに入ってからもサポートしていただける点を評価しています。
「x-Servlet」導入した際のオプションとして、問題発生時にサポートしていただけるサービスがあり、ユーザーの端末でダウンロードができないといった問題があった際に、不具合を再現する必要があるのですが、KSKさんから端末をお借りして検証することが出来ます。NECさんも仰っていますが、KSKさんは全端末をお持ちですので、「実機検証サービス」は非常に助かっていますし、今後も期待しています。
通信キャリア最大手のNTTドコモだからこそ、端末による不具合は許されません。その中で開発期間6ヶ月という過密スケジュールで2社が選択したのは「x-Servlet」でした。
スマートフォン時代となり、OS、メーカー、ブラウザが多様化する中、開発スピードと開発コストの両軸を支える「x-Servlet」、多種多様な端末のテストが可能な「実機検証サービス」、スマートフォンの最先端表現を簡単に実現する「x-fit」を手掛けるKSKは環境の変化・時代のニーズに合わせてモバイル開発をサポートします。
- 取材日:2013年3月
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